みなとみらいの電飾さん。

国語科に関することを書いています。詩も投稿しています。ほとんど備忘録ブログです。

お土産を持って帰ろう。

今年の全国大学国語教育学会世田谷大会で、

「創作した詩の写真化作品について自作解説のプレゼンテーションをする授業ー最果タヒの「自動返詩」および「#インスタグラ詩」を教材としてー」と題した学会発表をなさった髙岡佑希さんとお話しする機会を得た!

とても嬉しかったうえに、たくさんの「お土産」を頂いたので、(ご本人の許可を得て)公開記事として掲載します。

でも、本当にたくさん書きたいことがありすぎるので、今回は自分のノートメモからの抜粋!

 

(※こちらの大会プログラムのp2。要旨集は随時JSTAGEでアップとのこと)

https://www.jtsj.org/taikai/?action=multidatabase_action_main_filedownload&download_flag=1&upload_id=529&metadata_id=60

 

1授業者が実作者であること

 要旨集を読んで、「思いがけなく作れてしまった」詩の意義や、詩創作のハードルを下げる方法を提案しつつ、詩に親しめるような実践をしている髙岡さん自身の詩との背景を知りたくて、色々と質問した。

 髙岡さんは中学・高校時代から詩を書いていたそう。国語の授業がきっかけではなかったとのことだが、中・高とさまざまな詩を読んだり、特定の詩人をさかのぼったり色々な読み方をする中で、書きたいことが変わっていったりしたそうだ。また、リアルな人に見せたことはあまりなかったが、ネット上では作品を交流したりなどしていたということだ。

 当時の詩の作り方(詩ができていくきっかけ)については、「新しく知った言葉(たとえば中学のときは、「メランコリー」などから作ったことも)」から作っていく」方法が多かったという。いわゆる「文体」の模倣から入るということはなく、毎回決まった作り方があるわけでもなかったという。また、読むときは中編や長編の詩が好きだったが、書くのは短いものが多かったという。

 

 自分は、好きなシンガーソングライターが、どのように歌詞を書いているか答えているインタビューを読むのが昔から好きなので、「すごい!」と心から思った詩の実践をしている先生本人からこういう話が聞けて本当に楽しかったし嬉しい。「詩人」それぞれの詩の書き方があって、物語があって、自分はそういう「作者のストーリー」みたいなものに興味があるのかも…?

 そして、詩創作の授業をする授業者が、同時にどのような実作者であるのかということは、(おおっぴらにその経験を生徒に公開しないにしても)詩創作の授業を創っていく際にさまざまに関係してくる気がする。詩創作指導を行う授業者側の視点もさらに研究していきたい(自分自身含めて)。

 

2中学と高校の違い

中学では「国語科」としてある種のごった煮感、連続性がある。

高校では科目として分かれている性格があるが、焦点化して教えられる。

それぞれにそれぞれの良さがあるなあと思う。

自分としては、「公立中学校で行われる国語科の詩創作指導(授業)」という部分に、授業者として興味がずっとあるから、実践をしてその様相を見ていきたいと思っているので、高校の話ももっとたくさん聞いて、良い意味で比較していきたい。

また、「連続性」という点でいうと、「創作する文種の定義」を語ることを単元目標にするような単元では、自分としてはじっくり時間をかけて、定期的に行うような単元でないと「熟成」されない気がしている…。抽象的だけど。

そして、授業者なのか、研究者なのか、というお話をしたときには、その視点の転換は、実践をしながら研究として発表していくときに自分はすごく難しいなと思った。

 

3お土産を持って帰ろう。

 髙岡さんの言葉でぐっときたのが、「お土産」という言葉だった。

 授業で詩創作を経験した生徒が、「普段詩を書かない生徒には【こんな方法があるんだ!】、普段詩を(誰に言うわけでもなくても)書いている生徒には【私が使っている方法以外にもこんな方法があるんだ!】、どちらの生徒に対しても、授業が一種の「お土産」を持ち帰るような形になり、授業外に広がれば。」という趣旨のことをおっしゃっていて、ここにすごくぐっときた。

「創作の教育的意義」として「○○な効果がある」ということを求められるけど(それは学校教育だから当たり前なんだけど)、それが「○○ができるようになる」という言語技術的な部分だけになるのはちょっと、と。こういう風に、「自分の創作の方法が増えていく効果」がある、と言えるようにしていきたいなと思う。自分自身と対話する方法が増えていくって、大事なことじゃないか。そういうことを目指す授業・単元作りがしたい。そういうことが目指せる単元作りのモデルとか、実践を重ねていきたい。授業外で、生活の中に溶け込んでいったら、すごくいいじゃないか。加藤恵美子さんの実践的研究も思い出した。

www.jstage.jst.go.jp

他にもいろいろ考えたことがあったのだけれど、あくまでも思ったことを書き連ねる場なのでこのあたりで終わろう…。

髙岡さんとおはなしして、自分は「詩」そのものというより、「詩創作指導」や「創作指導の過程で生徒に芽生える一種の文学観」などに興味があるのかなあと改めて考えることができた。

 

髙岡さん、突然のお願いにもかかわらずたくさん質問に答えてくださり、しかもこちらにも問い返しをたくさんしてくださって、本当にありがとうございました!!